Classiques japonais avec furigana
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このにぎりめし
この握りめし
岸田 国士
Lisez この握りめし (このにぎりめし) de 岸田 国士 (きしだくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 649 caractères · 27 écrans
「はあ、そうすると、よほど自信がなければいかんわけですな」
「君、廻りくどい訊き方はよして、どうして宿賃が払えんのか、と訊いてくれたまえ」
こゝで、また、増田健次は、虚をつかれてしまつた。しかし、もうこゝまで来れば、腹を据えなければならぬ。
「いや、実のところ、まだわしらの出る幕じやないと思うんですが、ですから、個人としてお話を、とお断りしたわけです。お差つかえなかつたら、そのへんの事情を聞かせてください。今日は、たゞ、あなたにお目にかゝつて、どういう方だかを知つておきたいと思つたんです。ほんとに、それだけが目的でした。金がある都合で払えないことは誰にでもあることですから……」
「どうも、そう言つちまわれると、こつちが恐縮するけれども、いつたい、こういう場合、警察が仲にはいると、どういう効果があるんです。僕の場合は、強制力じや、どうしても駄目なんで、この宿の主人が、そう急ぐわけはないんだから、もう少し待つてくれるのが一番いいんですよ」
「待つことは待つと思うんですが、その期限が知りたいつていう話です。これも無理のないことでしようから……」
「いやね、こゝへ来る時は、一週間分の金は持つてたんだ。