Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

それから

それから

夏目 漱石

Lisez それから de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 172 794 caractères · 347 écrans

Aozora Bunko

三千代はあまり緩り出来そうな様子も見えなかった。まともに、代助の方を見て、

「貴方も相変らず呑気な事を仰しゃるのね」と窘めた。けれどもその眼元には笑の影が泛んでいた。

今まで三千代の陰に隠れてぼんやりしていた平岡の顔が、この時明らかに代助の心の瞳に映った。代助は急に薄暗がりから物に襲われた様な気がした。三千代はやはり、離れ難い黒い影を引き摺って歩いている女であった。

「平岡君はどうしました」とわざと何気なく聞いた。すると三千代の口元が心持締って見えた。

「相変らずですわ」

「まだ何にも見付らないんですか」

「その方はまあ安心なの。来月から新聞の方が大抵出来るらしいんです」

「そりゃ好かった。些とも知らなかった。そんなら当分それで好いじゃありませんか」

「ええ、まあ難有いわ」と三千代は低い声で真面目に云った。代助は、その時三千代を大変可愛く感じた。引続いて、

「彼方の方は差当り責められる様な事もないんですか」と聞いた。

「彼方の方って――」と少し逡巡っていた三千代は、急に顔を赧らめた。

「私、実は今日それで御詫に上ったのよ」と云いながら、一度俯向いた顔を又上げた。

代助は少しでも気不味い様子を見せて、この上にも、女の優しい血潮を動かすに堪えなかった。