Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
それから
それから
Lisez それから de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 172 794 caractères · 347 écrans
「この男を知ってるかい」と聞いた。其所には平岡の宿所姓名が自筆で書いてあった。
「知ってます」と代助は殆んど器械的に答えた。
「元、御前の同級生だって云うが、本当か」
「そうです」
「この男の細君も知ってるのかい」
「知っています」
兄は又扇を取り上げて、二三度ぱちぱちと鳴らした。それから、少し前へ乗り出す様に、声を一段落した。
「この男の細君と、御前が何か関係があるのかい」
代助は始めから万事を隠す気はなかった。けれどもこう単簡に聞かれたときに、どうしてこの複雑な経過を、一言で答え得るだろうと思うと、返事は容易に口へは出なかった。兄は封筒の中から、手紙を取り出した。それを四五寸ばかり捲き返して、
「実は平岡と云う人が、こう云う手紙を御父さんの所へ宛て寄こしたんだがね。――読んでみるか」と云って、代助に渡した。代助は黙って手紙を受取って、読み始めた。兄は凝と代助の額の所を見詰めていた。
手紙は細かい字で書いてあった。一行二行と読むうちに、読み終った分が、代助の手先から長く垂れた。それが二尺余になっても、まだ尽きる気色はなかった。代助の眼はちらちらした。頭が鉄の様に重かった。