Classiques japonais avec furigana
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あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
Lisez 『たぬき汁』以後 (あわもりものがたり) de 佐藤 垢石 (さとうこうせき) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 118 470 caractères · 244 écrans
やがて席次が定まって丸く座についた百数十人の選手、臍下丹田に力を入れて、ぱくつきはじめた。咽を鳴らす音、めしをかむ歯の響き、汁を吸う舌打ち、がぶがぶ呷る大盃に吐くため息。しばしがほどは、銀座街頭の跫音雑声よりも喧びすしい。
かくて激戦の末、後世まで名を遺した記録保持者は二十四、五人の多きを数えたのである。出羽新座主殿の家来田村彦之助は、四文揚げの天麩羅三百四十を食った。永井肥前守の家来辻貞叔は大福餅三百二十を平らげ、江戸堀江町の家主清水徳兵衛は鰻七貫目分の蒲焼きと飯五人前をぺろりとやってのけた。雷権太夫の弟子である玉嵐龍太郎は酒二升に飯二十杯、汁十八杯を片づけてけろり。神田三河町呉服屋の小松屋宗七は、十六文盛りの汁粉三十二杯。一樽三百箇入り梅干二樽を食って、すっぱい顔しなかったのは深川霊岸寺前の石屋京屋多七。たくあん二十本を噛った下総葛西村の百姓藤十郎という猛者もいた。
変わったのは、長さ七寸の鰹節五本を、がりがりやってしまった深川の漬物商加賀屋周助、蜜柑五百五個を食った桜田備前町料理屋太田屋嘉兵衛などである。両国米沢町の権次というのは山鯨十五人前。