Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちくしょうだに

ちくしょう谷

山本 周五郎

Lisez ちくしょう谷 (ちくしょうだに) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 69 788 caractères · 138 écrans

Aozora Bunko

罪人の子孫を殖やさないため、特に重刑を科したらしい。ずっと昔に幾たびか実例があり、女のほうは打ち殺されたが、男はみな逃げたということである。

「六十年ほどまえ、旅の行者の狐騒動ということがあって、住民の半分ちかくが死にました」と語り手は続けた、「それから密通の禁もゆるやかになり、いまでは木戸の監視も殆んど解かれたようなかたちですが、――権八はあの娘と夫婦になるつもりでいたものですから、昔の掟を盾に取って、あのような無態なことをやったのでございます」

隼人は静かに声のするほうを見た。炉端に一人の老人が坐り、長い金火箸で炉の火のぐあいを直していた。年は七十ちかいだろうか、逞しい躯と、顎の張った長い顔に、一種の威厳が感じられた。髪の毛は灰色であるが、眉毛は黒ぐろと太く、口許にも壮者のような力があった。それが正内老人であった。

「権八というのは、殴っていた男か」と隼人が訊いた。

老人はゆっくりと頷いた、「水牢につないでおきました」

「水牢だって」

「いや、昔の水牢でして」と老人は炉の火をみつめたままで云った、「――岩を掘った穴の上へ造った牢です、昔は罪人を鎖でつなぎ、腰まで浸るように水を引いたものだそうですが、いまでは樋もありませんし、牢の中はよく乾いております」