Classiques japonais avec furigana
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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
Lisez とむらい機関車 (とむらいきかんしゃ) de 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 186 729 caractères · 371 écrans
いや――ところが、これからお話ししようと云うのは、決してそんなんじゃアないんで、……むろん刑事事件なんですがね……それがその、なンて云いますか、ひどく一風変ったやつでしてね、さすがにメンエキの、不感症のこの私でさえも、いまだに忘れかねると云うくらいの、トテツもない事件なんですよ……
いちばん最初の事件は……なんでも、芝神明の生姜市の頃でしたから、九月の彼岸前でしたかな……刑事部の二号法廷で、ちょっとした窃盗事件の公判がはじまったんです。
……被告人は、神田のある洗濯屋に使われている、若い配達夫でして、名前は、山田……なんとかって云いましたが、これがその夜学へ通う苦学生なんです。
で、事件と云うのは……日附を忘れましたが、なんでも七月の、まだお天道様がカンカンしてる暑い頃のことでして……日本橋の北島町で、坂本という金貸の家が空巣狙いに見舞われたんです。この坂本って家は、主人夫婦に、大学へ行くような子供が二、三人あるんですが、恰度夏休みで、息子達は皆んな海水浴へ行って留守……そして恰度被害を受けたその日には、細君は女中を連れて昼から百貨店へ買物に出掛けて、後には主人の坂本が一人残った、と云うわけなんです。