Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ばちあたり

ばちあたり

山本 周五郎

Lisez ばちあたり de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 22 391 caractères · 44 écrans

Aozora Bunko

私は彼に「乗れよ」と云った、発車時刻が迫っていて、歩廊にいる客たちは次つぎと車内へはいってゆき、私たちのまわりには見送りの人や、走って来る乗客たちがまばらに見えるだけであった。

「ねえ、どう思う」と啓三は急に声をひそめて云った、「キトクっていう電報はこれで三度めだろう、あんたは三度とも診察しているでしょう、それでこんどはどうだと思う」

私は穏やかに云ってやった、「きみは香水のスプレーは丹念に握るくせに、髭を剃ることは忘れるらしいな」

「あんたにはわからないポケットさ」啓三は右手で口のまわりを擦った、「このぶしょう髭を少し伸ばしてるのが、当代仲買人のはやりっ子っていう看板なんでね、いまどき髭をきれいに剃ってるなんてのはバーテンダーか、信託銀行の支店長かベル・ボーイ、やあ、女傑があらわれましたぜ」

啓三は右手をあげて振りながら、階段口のほうへ走っていった。姉の順子は、トランクといいたいほど大きなスーツ・ケースを、両手で提げて持っていた。私は啓三がそれを受取るのを見て、車室の中へはいった。――十二月十八日という時期のためか、それとも午前八時なにがしという半端な時間のためか、その特二の車内は客も三分の二くらいしかなかったし、私たちのまわりには、一と組の若い夫婦らしい二人が、通路を隔てた向うの席にいるだけであった。