Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
みずぐるま
みずぐるま
山本 周五郎
Lisez みずぐるま de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 27 077 caractères · 54 écrans
三
犬は彼女を見あげ、悲しげに鼻でくんくんと啼いた。
三
若尾は弘田家に養女分として引取られた。
弘田の屋敷は黒門外といって、城の外濠に面していた。門の外の濠端道に立つと、左のほうに菅生曲輪、右に備前曲輪、そして菅生曲輪の向うに本丸の天守閣が眺められた。天守閣は屋敷の庭からも見えるし、若尾の部屋からも見ることができる。引取られて来て五日ばかりのあいだ、若尾は自分に与えられたその部屋で、天守閣を眺めては独りでよく泣いてばかりいた。
若尾を弘田家へ伴れて来た日、平右衛門夫妻のいる前で、親方が初めて彼女の身の上を語った。
――若尾は侍の子だ。と親方は云った。ちょうど十二年まえ、東海道の清水でなが雨にみまわれ、一座は木賃旅籠でとやについた。そのとき赤児を抱えた浪人者が同宿していたが、三月以上も病み続け、もう恢復の望みはなかった。浪人は河内伊十郎といい、どういうわけか孫右衛門をひどく信頼したようすで、この赤児を引取って育ててくれと云いだした。当時、孫右衛門はまだ妻が生きていたし、浪人の信頼するようすがしんけんなので、慥かに引受けたと云って承知し、赤児といっしょに臍緒書や系図なども受取って、雨が晴れると同時に宿を立った。