Classiques japonais avec furigana
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
Lisez みなかみ紀行 (みなかみきこう) de 若山 牧水 (わかやまぼくすい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 102 087 caractères · 203 écrans
湯槽の中には堆く散り溜って腐れた落葉の間に、僅かに両足を置いて蹲踞むだけの石が二つ三つ置いてある。湯は泡の玉をなしてその落葉の間に湧き、温度は極めてぬるいが、ラジュウムを含んでいる事では伊豆諸湯のうち一二を争うのだそうだ。
私は此処でこの不思議な二つの湯の紹介をしようとしたわけでなく、唯だ云い度いのはこの二つの湯を囲む渓ばたの樹木のうち、殆んどその半ばが山桜ではないかと疑わるるほど、その花の多いのに驚いたことであるのだ。若木も多いが、更らに老木が多い。樫や椎の茂みを抜き、この木とは思えぬほどのたけ高い梢を表わして咲き靡いているのもあれば、同じ様に伸び古りた幹や枝を白々とした瀬の真上にさし横たえて滴る様に咲いているものもある。世古の湯の崖に咲けば、対岸の木立の湯の背後の森には更らに見ごとに咲き出でているのである。
其処から四五丁上にのぼれば二百枚橋という橋がある。そのあたりは両方が萱山で、岸に木立とてもなく、やや打ち開けた川原となっているが、その川原にすら二三本の老樹が山の風に片靡びきに傾かせられたままの枝にみっちりと花をつけて咲き静もっていた。
地味に適しているのか、薪炭に伐られぬのか、兎に角此処の渓間にはこの花が多い。