Classiques japonais avec furigana
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
Lisez みなかみ紀行 (みなかみきこう) de 若山 牧水 (わかやまぼくすい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 102 087 caractères · 203 écrans
虎耳草に似て、疑いもなく深山のものらしい花である。
通ってゆく道ばたでもその幾つかに出逢ったが、それらはみな杉の蔭の小さなものであった。
「ア、彼処を御覧なさい、あんなに大きい山葵沢が」
と呼ばれて見た渓向うのそれは、道で見て来たものより遥かに見ごとなものであった。向う側の山はこちらと違って雑木林であった。そしてまだ少しも春の気の見えぬ落葉林であった。こまかに網の目を張った様な落葉樹の枝の煙り渡っているなかに、それこそ眼覚むる様なその段々田が山の襞に沿うて長々と下から上へ作りあげられているのであった。然かも一つならず二つ三つと山の切れ目ごとに、大きく縦に群青の縞をなし朽葉色の森の中に浮き出でているのであった。
二里あまりも登った頃、やがて我等三人はいま渓向うの山葵沢つづきに眺めて来たと同じい落葉樹林のなかへ歩み入った。年代といい、植物性といい、すべてそういうものから超越してしまっている様な、珍しい面白いを通り越し何となく不思議なものを見る様なそれら老樹の幹や枝の限りなく群り連っているなかを、私はただひっそりと二人の案内者のあとについて歩いて行った。