Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
めおとちょう
めおと蝶
山本 周五郎
Lisez めおと蝶 (めおとちょう) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 23 977 caractères · 47 écrans
「いやあねえお姉さま、なにを仰しゃるの」
文代は笑おうとして、急にはっと色を変えた。姉の静かな表情と、おちついた微笑と、心のきまった姿勢と、……文代は叫び声をあげ、母を呼びに立とうとした。信乃はそれを制止し、低い声で母には知らせないでと云った。
「お母さまにも、誰にも知らせたくないの、あなただけ聞いて頂きたいことがあるのよ」
「お姉さま、……いらっしゃるのね」
「ええゆきます、上村といっしょに」
信乃は膝の上に手を重ね、眼を伏せて、おちついた静かな声で云った。
「あなたいつか仰しゃったわね、わたくしがしあわせではないだろうって、――そのとおりだったの、上村へいってからすぐ、この結婚はまちがいだったと思いはじめ、甲之助が生れてからも夫婦らしい愛情はもつことができなかったの、――そうしてしまいには、憎むようにさえなっていたわ」
信乃は正直にすべてをうちあけた。病気になった子供の看護さえ思うようにさせなかった良平、いつも信乃を自分のそばへひきつけておこうとし、こちらに対する感情とか精神的な劬わりのない自己中心主義、……やりきれなくなって、心から憎みだした自分の気持など、隠さずにみんなうちあけた。