Classiques japonais avec furigana
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ジストマたいじのはなし
ジストマ退治の話
中谷 宇吉郎
Lisez ジストマ退治の話 (ジストマたいじのはなし) de 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 042 caractères · 23 écrans
「そうか、そりぁ万歳だ。中谷さん、銀座へ肉を食いに行こう」と岩波さんは凱歌をあげて、私と小林君をひきつれて、銀座へタクシーをとばせた。
三年ぶりに、恐る恐る牛肉を食ってみたが、やはり美味かった。私も妙に愉快になって、大分肉をくって、身体に力がついたような気になって、意気揚々と伊東へ引きあげた。あの時「そりぁ万歳だ」といった岩波さんは、もう故人の中に入り、あと六カ月のはずの私は、臆面もなくこういう物を書いている。
ベレルガールというのは、妙な薬である。マッチの頭くらいの小さな粒を、二粒だったか四粒だったか忘れたが、それを夜明けの五時頃にのむ。そうすると、午前中うつらうつらとして、ねるでもなく、さめるでもない調子で床の中にいる。もっともこれは多年の懸案が解決した心のゆるみもあったのであろう。一日に一度服むだけであって、その服む時刻が尋常でないのも一寸気に入った。
枸櫞酸ソーダ入りの粉薬は、毎食後にのむので、これはきわめて尋常である。ところで不思議なことには、約三週間、その半日のうつらうつらをやり、枸櫞酸ソーダをのんでいたら、胃袋の存在がいつの間にか、自覚されないようになって来た。