Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

パノラマとうきだん

パノラマ島綺譚

江戸川 乱歩

Lisez パノラマ島綺譚 (パノラマとうきだん) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 78 920 caractères · 153 écrans

Aozora Bunko

廣介は驚いて、倒れかかる千代子の身体を支えました。

「エエ、何ですか頭が痛くって……」

むせる様な香気が、例えば汗ばんだ人間の肉体から発散する異臭に似て、併し決して不快ではない所の香気が、先ず彼女の頭の芯をしびれさせたのです。それに、不思議な花の山々の、無数の曲線の交錯が、まるで小舟の上から渦巻き返す荒浪を見る様に、恐しい勢で彼女を目がけておし寄せるかと疑われたのです。決して動きはしないのです。でもその動かぬ丘陵の重なりには、考案者の不気味な奸計が隠されていたとしか考えられません。

「私、何だか恐しいのです」

漸く立直った千代子は、目をふさぐ様にして、僅かに口を利きました。

「何がそんなに恐しいの」

廣介は脣の隅に、ほのかな笑いを震わせて聞きました。

「何だか分りませんわ。こんなに花に包まれていて、私は無上に淋しい気がいたします。来てはならない所へ来た様な、見てはならないものを見ている様な気持なのですわ」

「それはきっと、この景色が余り美しいからだよ」廣介はさり気なく答えました。「それよりも、御覧。あすこへ、私達の迎いのものがやって来たから」

とある花の山蔭から、まるで御祭の行列の様に、しずしずと一組の女達が現われました。