Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

パノラマとうきだん

パノラマ島綺譚

江戸川 乱歩

Lisez パノラマ島綺譚 (パノラマとうきだん) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 78 920 caractères · 153 écrans

Aozora Bunko

八

左右には、まるで般若の面の様に、奥歯がすっかり現われる程に裂け、上下には歯ぐきが感ぜられる程も開いています。決して暗闇故の錯覚ではないのです。

それが又、彼を心の髄から震い上らせました。何も、死人が彼の手を噛むかも知れぬという様な、そんな恐れではありません。死人の肺臓が運動を停止してからも、口丈けで、呼吸をしようと、その辺の筋肉が極度に縮んで、脣を押し開き、生きた人間では迚も不可能な程大きな口にして了ったという、その断末魔の世にも物凄い情景が、彼の目先にチラついたのです。

前の人見廣介は、これ丈けの経験で、最早や精も根も尽き果てた感じでした。この上に尚、そのズルズルに腐った死体を穴から取り出し、取り出す丈けではなくて、それを処分する為に、更に一層恐しい、大仕事をやりとげなければならぬと思うと、彼は自分の計画が無謀極まるものであったことを、今更ながらつくづくと感じないではいられませんでした。

八

前の人見廣介が、仮令巨万の富に目がくれたとは云え、あの数々の激情を耐え忍ぶことが出来たのは、恐らく、彼も亦凡ての犯罪人と同じ様に、一種の精神病者であって、脳髄のどこかに、故障があり、ある場合、ある事柄については、神経が麻痺して了ったものに相違ありません。