Classiques japonais avec furigana
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パノラマとうきだん
パノラマ島綺譚
江戸川 乱歩
Lisez パノラマ島綺譚 (パノラマとうきだん) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 78 920 caractères · 153 écrans
俺は今こそ分った。俺はどうあってもお前を殺す外はない」
そして、廣介の両腕は、千代子の肩から徐々に位置を換えて、彼女の首に迫って行くのでした。
「ワワワワワワ、助けて……」
千代子はもう無我夢中でした。彼女はただ身を逃れることの外は考えなかったのです。遠い祖先から受継いだ護身の本能は、彼女をして、ゴリラの様に歯をむかせました。そして、殆ど反射的に、彼女の鋭い、犬歯は、廣介の二の腕深く喰い入ったのです。
「畜生ッ」
廣介は思わず手をゆるめないではいられませんでした。その隙に、千代子は日頃の彼女からはどうしても想像することの出来ない、す早さで、廣介の腕をくぐり抜けると、恐しい勢で、海豹の様に水中を跳ねて、真暗な彼方の岸へと逃れました。
「助けて……」
劈く様な悲鳴が四周の小山に響き渡りました。
「馬鹿、ここは山の中だ。誰が助けに来るものか、昼間の女共は、もうこの地の底の部屋に帰ってぐっすり寐込んでいるだろう。それに、お前は逃げ道さえ知らないのだ」
廣介は態と余裕を見せて、猫の様に彼女へ近寄るのです。地上には何者もいないことは、この王国の主である彼にはよく分っていました。