Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ヘヤーピンいっぽん

ヘヤーピン一本

豊島 与志雄

Lisez ヘヤーピン一本 (ヘヤーピンいっぽん) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 246 caractères · 17 écrans

Aozora Bunko

極りわるそうな風もなく、悲しそうでもなく、微笑の影も浮べず、没表情な顔に返っている。

「いろいろ、ありがとうございました。これから、くにへ帰ります。」

丁寧なお辞儀をして、あとしざりに、室から出て行った。

久子さんが玄関まで送ってゆき、しばらく手間取った。

俺も岩木も黙っていた。

久子さんが戻ってくると、岩木はいぶかしそうに彼女を眺めた。

「お前はへんだったよ。あの娘と、まるで、前から識り合いみたいだ。」

「だって、可哀そうです。」強い語調だ。「重そうなカバンをさげていましたわ。」

「市役所からここまで、なんのために来たのかなあ。」

「お礼を言いに来たと、申しておりました。」

「帰りに何か言ったかい。」

「くり返しお礼を言って、それから、御気嫌よろしゅう、と言いました。」

「なに、御気嫌よろしゅう………まるで貴婦人みたいじゃないか。」

久子さんは気を悪くしたらしく、黙りこんでしまった。――それからずっと、彼女はあまり口を利かなかったようだ。ちょっと気が立って、中途で機嫌をわるくし、そのまま人形めいた平常に滑りこんだのであろうか。

俺ははじめて口を開いた。

「貴婦人でそして無筆だろう。