Classiques japonais avec furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Lisez ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) de 梅崎 春生 (うめざきはるお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 129 411 caractères · 263 écrans
「でも、軍鶏はやはり飼いなさいよ」と彼は言った。「それを止めると、あなたはきっと変な具合になりますよ」
白木はふくれた瞼をあげて、小さな瞳で彼をちらりと見た。冷たく硬い瞳の色であった。彼はそろえた花札を白木の前から取り、箱に入れながら言った。
「もし何でしたら、私付きのまま、この家をお売りになってもいいですよ。でも私もできるだけ探してはみますがね」
「ええ。ええ」
白木はあいまいにうなずいた。そして立ち上った。彼は縁側まで送って出た。白木は下駄をはきながら言った。
「発田さんの犬が、この庭にも来るでしょう」
「ええ」
「昨日うちの鶏と喧嘩しましてね。あの犬、ときどきお宅のものをくわえて行きません?」
「いいえ」と彼はうそをついた。「いい犬ですね、あれは」
白木は急に声を落して言った。
「発田さんはなかなか家賃をはらって呉れないのですよ。もう何箇月も。あなたからかけ合っていただけませんか。歩合を出しますよ」
彼はただ黙ってぼんやり笑っていた。すると白木も気の抜けたような笑いを顔に浮べた。
「闘鶏の集りは、いつですか」
「ええ。もう二週間ばかり」
お辞儀をして、長者門をくぐって白木が行ってしまうと、暫くして彼は部屋に戻り、ラジオを台にして、手紙を書き始めた。