Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Lisez ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) de 梅崎 春生 (うめざきはるお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 129 411 caractères · 263 écrans
男は外套を丸めると僕の膝にどさりと置いた。
「さあ、暖まりなよ」
「じゃ貰っとくよ。しかし全く――」僕は外套に腕を通し釦をかけながら、「お前も星菫派だな」
男はふと顔を上げて聞き咎める表情であったが、既に僕はその時着終って腰を掛けていた。郷愁を誘うような毛外套の匂いがしっとりと肩や背に落ちた。立てた襟が軟かく頬をくすぐった。冷えた体がやがてほかほかぬくもって来た。僕が言った。
「これは俺に丁度いいよ。俺のために仕立てたと思う位だよ。しかしお前は何で俺にこれをくれたんだね。きっと明朝後悔するよ。もう憂鬱な顔をしてるじゃないか」
「まだ憂鬱じゃないよ。しかし外套脱ぐと恐しく寒いな。明朝のことは知らんが後悔するような予感もするよ」
「それならくれなきゃ良いじゃないか」
「俺は人から貰う側よりやる方になりたいと思う。そう自分に言い聞かしているんだ。お前はどういう気持で貰ったんだ」
「俺か」僕は指で釦をまさぐりながら答えた。「これで今の寒さがしのげると思ったから貰ったよ。降りる時かえしてやろうか。この釦は面白い形だな」
「かえして貰わなくても良いよ」
しかし男は寒そうに肩をすくめて眉根を暗く寄せた。