Classiques japonais avec furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Lisez ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) de 梅崎 春生 (うめざきはるお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 129 411 caractères · 263 écrans
大部屋に押し込み、粗悪なものを食わせて、それで一万八千円とは、経営者は笑いがとまらないでしょう。可哀そうに甚五はとうとうその一万八千円組の一人となりました。
だまされて連れて来られたと判った時、甚五は少しあばれたそうです。しかし屈強な看護人がぬっと姿をあらわしたので、とたんにおとなしくなり、診察を受けて、素直に大部屋に入って行った。つきそって行ったのはフクさんと大久保で、日曜日でもないのに大久保が同行したのは、手続きの責任もあるのでしょうが、勤め先がよほど暇な役所と見えます。こんな連中の給料まで皆が負担しているんですからねえ。税金が高いのもムリはありません。
それから四五日経った夜、甚五はとことこ森タバコ店に帰って来ました。いきなりガラス扉をあけ、死んだ魚のような眼で家の中をぐるりと見廻し、フクさんを押しのけて押入れをあけたり、果ては箪笥の引出しまで調べたんだそうです。そして言いました。
「おい。男はどこに隠した?」
「男なんかいるもんですか。ばかばかしい」
フクさんは少し気味悪くなったが、それでもつんけんと言い返しました。
「一体病院の方はどうしたの?」