Classiques japonais avec furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Lisez ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) de 梅崎 春生 (うめざきはるお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 129 411 caractères · 263 écrans
不破の名前で僕らが払うのは、どうも変な気がするので、僕が徴収員にそう言うと、人の好さそうなその徴収員は困ったような表情で、はあそれも一理ですな、とすたすたと戻って行く。その恬淡にして公僕的たること、戦後税務吏員の中では異例に属し、表彰したいくらいの人物でした。しかし督促がある度に、義務としてそのことを僕は野呂に伝える。すると野呂は、そうかい、と言うだけであとは何も言いません。出すものは舌を出すんだって嫌がる男ですから、固定資産税なんか飛んでもないと考えているのでしょう。
こうして一つ家を二人で所有し合って以来、お互いにあまり口をきかなくなったが、それはお互いに無関心になったことかと言うと、飛んでもない、全然その反対なのです。表面上相手を黙殺するような態度をとり、生活の干渉を一切避けているように見えますが、内心はピリピリして、相手の一挙一動に神経をとがらせている。それはそうでしょう。家が僕らにぶら下る重みは、以前より大幅に増している。野呂は未だこの家を独占しようとの欲望は捨てていないに決っているし、すきあらば僕の弱点をつかもうとねらっているでしょう。