Classiques japonais avec furigana
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ヴィヨンのつま
ヴィヨンの妻
Lisez ヴィヨンの妻 (ヴィヨンのつま) de Dazai Osamu (太宰 治) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 56 363 caractères · 112 écrans
私はまじめに、
「それでは、やはり、公卿の出かも知れない」と言って、彼の虚栄心を満足させてやった。
「うん、まあ、それは、はっきりはわからないが、たいてい、その程度のところなのだ。俺だけはこんな、汚い身なりで毎日、田畑に出ているが、しかし、俺の兄は、お前も知っているだろう、大学を出た。大学の野球の選手で新聞にしょっちゅう名前が出ていたではないか。弟もいま、大学へはいっている。俺は、感ずるところがあって、百姓になったが、しかし、兄でも弟でも、いまではこの俺に頭があがらん。なにせ、東京は食糧が無いんで、兄は大学を出て課長をしているが、いつも俺に米を送ってよこせという手紙だ。しかし、送るのがたいへんでな。兄が自分で取りに来たら、そうしたら、俺はいくらでも背負わさせてやるんだが、やっぱり東京の役所の課長ともなれば、米を背負いに来るわけにもいかんらしいな。お前だって、いま何か不自由なものがあったら、いつでも俺の家へ来い。俺はな、お前に、ただで酒を飲ませてもらおうとは思ってないよ。百姓というものは、正直なもんだ。受けた恩は、かならず、きっちりとそれだけ返す。いや、もうお前のお酌では、飲まん! かかを呼んで来い。