Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ひとつのめばえ

一つの芽生

宮本 百合子

Lisez 一つの芽生 (ひとつのめばえ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 14 627 caractères · 29 écrans

Aozora Bunko

一つの芽生

宮本百合子

この一篇を我が亡弟に捧ぐ

一

もう四五日経つと、父のおともをして私も珍らしく札幌へ行くことになっていたので、九月が末になると、家中の者が寄り集って夕飯後を、賑(にぎ)やかに喋り合うのが毎晩のおきまりになっていた。

その夜も例の通り、晩餐(ばんさん)がすむと皆母を中心に取り囲んで、おかしい話をしてもらっては、いかにも仲よく暮している者達らしい幸福な、門の外まで響き渡るような笑声を立てていた。おいしかった晩餐の満足と、適度な笑いを誘う滑稽の快さで、話しても聞きても、すっかり陽気に活気づいていた。

けれども、その楽しい心持は、暫くして母の注意がフト次弟の顔色に注がれた瞬間から、全く「その瞬間」からすべてが一息に、正反対の方へと転換してしまった。或る人々の言葉を借りていえば、その一瞬間のうちに彼及び私どもの、永久的な運命の別れ目が刻されたのであった。

ニコニコと心に何のこだわりもない微笑を浮べながら、皆自分よりは強そうな息子達の顔を、順繰りに眺めては、即興的な批評を与えていた母は、次弟のところまで来ると、非常に微かではあったが表情を変えた。