Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ひとつのめばえ

一つの芽生

宮本 百合子

Lisez 一つの芽生 (ひとつのめばえ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 14 627 caractères · 29 écrans

Aozora Bunko

それから三十分の後、父と私が病室に入ったときには、午前中見た表情とは、まるで、まるで変ってしまっている彼の上に、私の目にも見違い得ない脳膜炎の症状が、痛々しい痙攣(けいれん)と頸部の強直に伴って襲いかかっていたのである。

あの魂を引きむしられるような叫喚(きょうかん)。

あの物凄い形に引きつった十指、たえず起る痙攣のあの恐ろしい様子を、私はどんな言葉で云い表わすことができるだろう!

神よ! 全く堪らない。

それは実に、私と同様の半狂乱の真剣さで、肉親の弟の上に起った、「あの」苦難をまのあたり注視し尽した人々にのみ同感し得る感銘なのである。

必要な箇所に危篤の報が伝えられた。

すき間もなく取り囲んだ医師達によって、種々の手当が与えられた。

そして、幸(さいわい)にもごく僅かずつ、痙攣が鎮まり、今夜中の危険は十中八九なさそうにまで鎮静したのは、殆ど十二時近くであったろう。

けれども、彼の広い胸じゅうその力を集めて叫ぶ声は、殆ど黎明(れいめい)までも続いた。

三

四十度だった熱はその翌日――十三日の朝九度に落ちた。そしてかなり有難い熟睡が平穏に続いた。