Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
なのかななよ
七日七夜
山本 周五郎
Lisez 七日七夜 (なのかななよ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 17 818 caractères · 36 écrans
食物の湯気と匂いと人いきれで、八間の燈がついているのに、店の中はごちゃごちゃとよく見通しがきかない。
「お待ちどおさま」
さっきの小女がすぐに註文の品を持って来た。寒さで震えていた昌平は、われ知らず喉が鳴ったが、燗徳利のほかに、なにか肴を盛った小皿を二つ並べられたので、「またか」と思った。これまでの遍歴中、ゆく先ざきでこの手をくった。命じもしない物を勝手に並べて、べらぼうな金を強奪するのだ。
――もうそうはいかないぞ。
昌平は小女を呼び止めた。
「私はこんな物は註文しない、この店では客に押売りをするのか」
小女はけげんそうな顔をした。
「それはつきだしです」
「私は註文しないと云ってるんだ」
「でもつきだしですから」
「なんであろうと」昌平の声は高くなった、「――註文しない物は私は金を払わないぞ」
すぐ右側にいた三十ばかりの男が、問答の意味を察したのだろう、好意のある笑い顔をこっちへ向けて云った。
「いいんですよお侍さん、そいつは店のおあいそでね、酒に付いてるんで、代は取らねえもんなんですから」
「代を取らない、では只というのか」
「もう一本召上るともう一と皿付きますが、ほかの店と違って此処は酒も吟味するし、喰べ物も安いんで繁昌するわけです」