Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

さぶろうじい

三郎爺

宮本 百合子

Lisez 三郎爺 (さぶろうじい) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 24 866 caractères · 50 écrans

Aozora Bunko

山かげの涼しさとは、また味の違ったすがすがしい、潤いのある空気が小波の一襞ごとにどこからか送られて来ては、開いた毛穴に快く沁みて行く。

彼は荷物や何かを、ごたごたと皆傍へ下してしまった。そして布子の胸をはだけて、雲助のような胸毛を、しおらしく戦(おのの)かせながら、目を細くして風に吹かれた。

すぐ側から、ずーっとかなりの長さに突出している船着場の石垣に甘える水の音が、厚い彼の鼓膜に擽(くすぐ)ったい感じを与える。

あまりいい心持で、馬鹿になりそうだったというのは、ほんとのことだろう。

近所の見すぼらしい茶屋で、鯰(なまず)の干物という恐るべきものをお菜に、持って来た握り飯を食べると、荷を解いて最初に水深を計ることになった。

幾里四方という大湖の水深を調査するのに、たかが人間の背の立つところまで、不正確至極な尺度か何かで計ったということは、私にはどうしても信じられない。

いくら、まだちょん髷がざらにあった時代だとはいっても、あまりのんきすぎる。開墾事業に尽瘁(じんすい)した山沢さんのすることとは思われない。

けれども、当事者であった三郎爺の断言によれば、後のことはどうだか分らないが、少くともそのときだけは、そうして計ったに違いないのだそうだ。