Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ふざいじぬし
不在地主
小林 多喜二
Lisez 不在地主 (ふざいじぬし) de 小林 多喜二 (こばやしたきじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 69 990 caractères · 141 écrans
岸野は畔道にしゃがんで、
「どうだい、今年は?」と、稲の穂をいじりながら、吉本管理人にきいた。――昔の地主などとちがって、岸野は田畑の事には縁が遠く、ただ年幾らの小作料が手に入るしか知っていなかった。
「ええまア並です。二番草の頃は、とてもよかったんですが、今月の始め頃にかけて虫が出ましてね。殊に去年は全部駄目と来ているから、今年はどんなに良くても小作はつらいんです。――余程疲弊してるんで……。」
「ん……で、どうだい様子は……?」
「え、今のところは……矢張り秋になってみないと。」
――お互いに声が低くなっていた。
「気をつけて貰わないとな。」
「それア、もう!」
「ん。」
岸野は正直に云って、時々後から不意に田の中へ突きのめされはしないか、という脅迫めいた恐怖を感じていた。何かの拍子に、何度も何度もギョッとした。一町も行かないうちに、汗をびっしょりかいていた。然し表面だけの威厳は持っていなければならなかった。
「この前のように、嘆願書をブッつける事はないだろうな。」
「その点こそ、今度は大丈夫ぬかりませんでした。」
「ん。」それで安心した。――然し後の方は口に出しては云わなかった。