Classiques japonais avec furigana
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おかのうえ
丘の上
豊島 与志雄
Lisez 丘の上 (おかのうえ) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 034 caractères · 23 écrans
青々とした高い空だった。朝凪ぎの静かな大気だった。
水死人の上の濡れ蓆からは、淡い湯気がゆらゆらと立って、日の光の中に消えていた。
大学にはいって間もない頃、夏の休暇に、汽車で三時間ばかりのところへ、友人を訪れていって、翌日の午後二時すぎの汽車で帰ってきた。
車室は込んでいなかった。離れ離れに腰かけてる乗客達は、曇り日の午後の倦さに、皆黙りこんでうとうととしていた。取りとめもない杳かな想い、窓の外を飛びゆく切れ切れの景色、規則的な車輪の響き、而も安らかな静寂……ぽつりぽつりと、降るとも見えぬ雨脚が、窓硝子に長く跡を引いていた。
汽笛が鳴ったようだった……が空耳かも知れなかった。凡てが妙に落付き払っていた。変だな……と頭の遠い奥で考えてると、汽車は速力をゆるめていた。ごとりと一つ反動をなし止った。
停車場でも何でもない野の中だった。と不意に、乗客の一人が立上って、窓から頭をつき出して覗いた。それが皆に伝染して、次々に窓から覗き出した。他の車室の窓からも、ずらりと乗室の顔が並んでいた。
機関車に近いところから、車掌と火夫とが二人降りてきた。列車の下を覗きこみながら、だんだん後部へやって来た。