Classiques japonais avec furigana
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ちゅうごくかいきしょうせつしゅう
中国怪奇小説集
岡本 綺堂
Lisez 中国怪奇小説集 (ちゅうごくかいきしょうせつしゅう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 179 458 caractères · 363 écrans
かれは一つの鉄の簡をわたして立ち去った。それから歳月が過ぎるうちに、老女の娘はだんだん生長して、ここらでは珍しいほどの美人となった。ある日、大王と称する者が大勢の供を連れて来て、老女の家に宿った。
「おまえの家には曾て異人から授かった鉄簡があるそうだが、見せてくれ」と、大王は言った。
これまでにも老女の話を聞いて、その鉄簡をみせてくれという者がしばしばあるので、彼女はその贋物を人に貸すことにして、本物は常に自分の腰に着けていた。きょうもその贋物の方を差し出すと、大王はそれを取り上げたままで返さないばかりか、ここの家には娘がある筈だから、ここへ呼び出して酒の酌をさせろと言った。娘はあいにくに病気で臥せって居りますと断わっても、王は肯かない。どうでもおれの前へ連れて来いとおどしつけて、果ては手籠めの乱暴にも及びそうな権幕になって来た。
老女はふと考え付いた。この大王などというのはどこの人間だか判らない。かの道士は二十年後に禍いがあるといったが、その年数もちょうど符合するから、大事の鉄簡を用いるのは今この時であろうと思ったので、腰につけている本物の鉄簡をそっと取って、竈の下の火に投げ込むと、たちまちに雷はとどろき、電光はほとばしって、火と烟りが部屋じゅうにみなぎった。