Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

よかん

予感

山川 方夫

Lisez 予感 (よかん) de 山川 方夫 (やまかわまさお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 1 904 caractères · 4 écrans

Aozora Bunko

深い谿をへだてた小さな山の斜面に、ぽつぽつ新緑が目立ちはじめ、その山肌に明暗の模様をつくりながら、いくつかの雲の落す影が動いている。遠く近く、早春の褐色の山の起伏がつらなり、それと明るくみずみずしい真青な空との対照は、美しいといえば美しく、和やかといえば和やかな景色だったが、でも、彼はそれどころではなかった。

彼は、妻とならび、山腹を削りとった道をのぼってゆく、大型バスの座席に揺られていた。妻はキャラメルを頬ばり、幼いころのピクニックなんかの話をしている。その声が、なんだか水の中で聞いているような気がするのは、つまりそれほど標高のたかいところにきたせいなのだろうか。

「耳がいたいの? 弱むし」

「いや。ただボワーンとしてるだけさ」

彼は苦笑して答えた。だが、気がかりはそんなことではなかった。

彼は、自分に一種の予感の能力があるのを信じていた。当面の問題の吉凶が予知できるのである。それは、ふいに背すじにはしり下りる、しびれるような短い戦慄で彼に報じられる。その戦慄の微妙な差で、彼は、それが吉兆か凶兆かを区別するのである。

その警笛が、じつはさっきから背中で鳴りつづけているのだ。