Classiques japonais avec furigana
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ふたつのてがみ
二つの手紙
Lisez 二つの手紙 (ふたつのてがみ) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 799 caractères · 24 écrans
ある機会で、予は下に掲げる二つの手紙を手に入れた。一つは本年二月中旬、もう一つは三月上旬、――警察署長の許へ、郵税先払いで送られたものである。それをここへ掲げる理由は、手紙自身が説明するであろう。
第一の手紙
――警察署長閣下、
先ず何よりも先に、閣下は私の正気だと云う事を御信じ下さい。これ私があらゆる神聖なものに誓って、保証致します。ですから、どうか私の精神に異常がないと云う事を、御信じ下さい。さもないと、私がこの手紙を閣下に差上げる事が、全く無意味になる惧があるのでございます。そのくらいなら、私は何を苦しんで、こんな長い手紙を書きましょう。
閣下、私はこれを書く前に、ずいぶん躊躇致しました。何故かと申しますと、これを書く以上、私は私一家の秘密をも、閣下の前に暴露しなければならないからでございます。勿論それは、私の名誉にとって、かなり大きな損害に相違ございません。しかし事情はこれを書かなければ、もう一刻の存在も苦痛なほど、切迫して参りました。ここで私は、ついに断乎たる処置を執る事に、致したのでございます。
そう云う必要に迫られて、これを書いた私が、どうして、狂人扱いをされて、黙って居られましょう。