Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ふたりのもうじん
二人の盲人
平林 初之輔
Lisez 二人の盲人 (ふたりのもうじん) de 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 366 caractères · 13 écrans
細君が代わって答えた。
「いつも独りでやるのよ。あたしよりよっぽど器用ですわ」
「この注射器は、駄目だ、あっちのと取り替えてきてくれ」
玄石は、毀れた注射器の針を、脱脂綿で拭きながら、千鶴子に渡した。彼女は、それをうけとって立ち上がった。
彼女の足音が、奥の間へ消えた時、玄石の顔には、何とも言いようのない表情が浮かんだ。呪いと、憎みと、喜びと、満足とを一緒にしたような、悪魔の笑いのような、形相が彼の面に現れた。しかし、眼の見えない藤木には、それはわからなかった。
玄石の左手には注射用の××××の小瓶が握られた。彼の左手は、猿のように敏捷に、膝の前の辺を探った。彼は素速く、モルヒネの瓶を右手に持ちかえた。
気味の悪い液体が、一滴、一滴、つぎつぎに三つの茶碗の中へ注がれていった。
それがすむと、彼は悪魔の笑いを笑いながら、もとの姿勢にかえった。その瞬間、千鶴子が、別の注射器を持ってかえってきた。
「これでいいでしょうか?」
玄石は無言でそれをうけとった。極度の興奮と、咽喉の苦痛とのために、声が出なかったのだ。
千鶴子は、玄石が自分で自分の二の腕に、注射器をさすのを危なかしそうに見ていたが、やがて、思い出して言った。