Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ふたりのもうじん
二人の盲人
平林 初之輔
Lisez 二人の盲人 (ふたりのもうじん) de 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 366 caractères · 13 écrans
四
だが、藤木だってやっぱり不具者じゃないか。どうせ不倫をするくらいなら、何も彼を選ばなくたって、他に相手はありそうなものだ。しかし、藤木の身体のどこかに、彼女を惹きつける何物かがあるのかもしれない。それに、藤木と千鶴子とが、怪しいか怪しくないかは、眼の見えない俺には、絶対に確かめることのできないことだ。そして、それはいずれにしろ同じことだ。たとい何でもないにしたところで、いったんこんな疑いが、俺の心に起こった以上は、この人が存在する以上は、俺の心はいつまでも平和であり得ないのだ。よし……彼の心に、怪しい決心がさっと閃いた。
彼の肺臓からしぼり出される呼気が喉頭に、きしんでぜいぜいと音をたてるのが、夜の静けさの中に、木枯しのように、気味悪く聞こえていた。
四
「玄石君いるかね」
藤木の声が玄関に聞こえた。玄石は瞑想から覚めて、ぎょろりと乳灰色の眼球を回転さした。彼は、何か秘密を見破られた時のようにおびえた。
「さあどうぞお上がりなすって」千鶴子の声がつづいて玄関で聞こえた。
玄石は、茶の間で耳をたてた。
――二人は、玄関でどんな真似をしているだろう? 笑い声が聞こえる。