Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
Lisez 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) de 壺井 栄 (つぼいさかえ) en japonais avec furigana. JLPT N3. Touchez un mot pour le sens.
N3 · intermédiaire · kanji et kana modernes · 113 429 caractères · 227 écrans
昔でさえも、自転車でかよった八キロの道は、歩いてかようしかなかった。とうてい、からだのつづくはずがないと考えて、母子三人岬へ移ろうかといいだしたとき、一言で反対したのが大吉だった。船でおくり迎えをするというのだ。船だとて借りるとすれば、相当の礼もしなければならない。
「雨がふったら、どうする?」
「そしたら、お父さんの合羽きる」
「風の強い日は、こまるでないか」
「…………」
「あ、心配しなさんな。風の日は歩いていくよ」
返事につまった大吉を、いそいで助けたものだ。あしたはあしたの風がふく。あしたのことまで考えてはいられなかった永い年月は、雨や風ぐらいでへこたれぬことだけは、教えてくれた。戦争は六人の家族を三人にしてしまったけれど、だからなお、残った三人はどうでも生きねばならないのだ。大吉は六年生になっている。並木は四年だった。出がけに渚に立って母の初出勤を見おくってくれた並木も、もうそろそろ学校へ出かける時分だと思って一本松をふりかえった。久しぶりに沖からながめる一本松も、昔のままに見える。なんの変化も見られぬその村にさえ、大きな変化をきたした戦争の果ての敗戦。