Classiques japonais avec furigana
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ごじゅうのとう
五重塔
幸田 露伴
Lisez 五重塔 (ごじゅうのとう) de 幸田 露伴 (こうだろはん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 57 316 caractères · 111 écrans
ことのなるものぞ、親方様はお胸の広うて、ああ十兵衛夫婦はわけの分らぬ愚か者なりゃ是も非もないと、そのまま何とも思しめされずただ打ち捨てて下さるか知らねど、世間は汝を何と云おう、恩知らずめ義理知らずめ、人情解せぬ畜生め、あれ奴は犬じゃ烏じゃと万人の指甲に弾かれものとなるは必定、犬や烏と身をなして仕事をしたとて何の功名、欲をかわくな齷齪するなと常々妾に諭された自分の言葉に対しても恥かしゅうはおもわれぬか、どうぞ柔順に親方様の御異見について下さりませ、天に聳ゆる生雲塔は誰々二人で作ったと、親方様ともろともに肩を並べて世に称わるれば、汝の苦労の甲斐も立ち親方様のありがたいお芳志も知るる道理、妾もどのように嬉しかろか喜ばしかろか、もしそうなれば不足というは薬にしたくもないはずなるに、汝は天魔に魅られてそれをまだまだ不足じゃとおもわるるのか、ああ情ない、妾が云わずと知れている汝自身の身のほどを、身の分際を忘れてか、と泣き声になり掻き口説く女房の頭は低く垂れて、髷にさされし縫針の孔が啣えし一条の糸ゆらゆらと振うにも、千々に砕くる心の態の知られていとどいじらしきに、眼を瞑ぎいし十兵衛は、その時例の濁声出し、喧しいわお浪、黙っていよ、我の話しの邪魔になる、親方様聞いて下され。