Classiques japonais avec furigana
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ごじゅうのとう
五重塔
幸田 露伴
Lisez 五重塔 (ごじゅうのとう) de 幸田 露伴 (こうだろはん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 57 316 caractères · 111 écrans
其三
其三
世に栄え富める人々は初霜月の更衣も何の苦慮なく、紬に糸織に自己が好き好きの衣着て寒さに向う貧者の心配も知らず、やれ炉開きじゃ、やれ口切りじゃ、それに間に合うよう是非とも取り急いで茶室成就よ待合の庇廂繕えよ、夜半のむら時雨も一服やりながらでのうては面白く窓撲つ音を聞きがたしとの贅沢いうて、木枯凄まじく鐘の音氷るようなって来る辛き冬をば愉快いものかなんぞに心得らるれど、その茶室の床板削りに鉋礪ぐ手の冷えわたり、その庇廂の大和がき結いに吹きさらされて疝癪も起すことある職人風情は、どれほどの悪い業を前の世になしおきて、同じ時候に他とは違い悩め困しませらるるものぞや、取り分け職人仲間の中でも世才に疎く心好き吾夫、腕は源太親方さえ去年いろいろ世話して下されし節に、立派なものじゃと賞められしほど確実なれど、寛濶の気質ゆえに仕事も取り脱りがちで、好いことはいつも他に奪られ年中嬉しからぬ生活かたに日を送り月を迎うる味気なさ、膝頭の抜けたを辛くも埋め綴った股引ばかりわが夫にはかせおくこと、婦女の身としては他人の見る眼も羞ずかしけれど、何にもかも貧がさする