Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ごかいのまど

五階の窓

江戸川 乱歩

Lisez 五階の窓 (ごかいのまど) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 189 caractères · 21 écrans

Aozora Bunko

二

た。廊下には人の影もない。彼は跫音のしない歩き方で、隣室の方へ二三歩進み、社長室のドアの所で、一寸立止り相にしたが、思い直してサッサと洗面所へ歩いて行った。広い洗面所の中を、どうしたものか、彼は別段用をなすでもなく、四五回、コツコツと行ったり来たり歩き廻った。何だか妙にイライラしていた。

洗面所を出ると、彼はやっぱり音のしない歩き方で廊下を戻り、もう一度社長室の前に来た。そして今度はもう躊躇しないで、ヒョイと腰をかがめ、ドアの鍵穴から内部を覗き込むのであった。

二

「アノ、御用でございましょうか」

瀬川艶子は、社長室に入って、後手にドアをしめると、非常にとりすました表情で、併し同時に、彼女が男性に対する時はいつもする癖の、一種の媚が眉間に置き忘れてあったけれど、しとやかに腰をかがめた。

「アア、一寸手紙を書いて貰い度いのだが」

西村陽吉はチョッキの両脇へ左右の拇指をはさんで、残りの指をヒラヒラさせながら、椅子からヒョイと立上ると、文案でも考える恰好で、室内を散歩し始めた。傭人の小娘なんか、眼中にないといった体で、最早やみじめにたるみはじめた口辺の皮膚を、精一杯緊張させ、さも生真面目なへの字を作り、艶子の方は見向きもしないで、コツリコツリと歩いている。