Classiques japonais avec furigana
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しぐれがさ
人情武士道
山本 周五郎
Lisez 人情武士道 (しぐれがさ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 24 700 caractères · 51 écrans
しぐれ傘
鯉の宗七
一
鯉の宗七
一
佐野屋藤吉は、女房の酌で朝酒を呑んでいた。
いつも四、五杯で機嫌よく酔うのが、今朝はもう二本めをあけようとしているのに、髭の剃跡の青い固肥りのした顔は妙に冴えて、「眼玉の藤吉」と綽名のついている大きな両眼は、さっきから店の方を睨んではぎらぎら光っていた。
「なんだ、もう無えのか」
「あがるんですか」
「もう一本つけてくれ。いいからつけてくれ。なんだか酔いそびれて踏んぎりがつかなくっていけねえ」
女房のおかねは気遣わしそうに、亭主の横顔をそっと見た。
むっつりと、変に気の詰った調子で三本めを呑み始めると間もなく、弟子の六造がやって来た。
「親方、川口町が見えました」
「此処へ通してくれ」
そう云って藤吉は、女房に振り返った。
「おめえ二階へ行っていねえ」
「だって親方」
「いけねえ、おめえに側から口出しをされちゃあ話の筋が通らねえ、行っててくれ」
「では外しましょう、けれど親方」
おかねは素直に立ちながら「宗七はあの通りの気質で口下手だから、頭ごなしに叱っちゃあ駄目ですよ、あれにもなにか考えのあることでしょうから……」
「それが余計なことだと云うんだ、いいから行きねえ」