Classiques japonais avec furigana
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さはしじんごろう
佐橋甚五郎
Lisez 佐橋甚五郎 (さはしじんごろう) de Mori Ōgai (森 鴎外) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 308 caractères · 13 écrans
甚五郎は最初黙って聞いていたが、皆が撃てぬと言い切ったあとで、独語のように「なに撃てぬにも限らぬ」とつぶやいた。それを蜂谷という小姓が聞き咎めて、「おぬし一人がそう思うなら、撃ってみるがよい」と言った。「随分撃ってみてもよいが、何か賭けるか」と甚五郎が言うと、蜂谷が「今ここに持っている物をなんでも賭きょう」と言った。「よし、そんなら撃ってみる」と言って、甚五郎は信康の前に出て許しを請うた。信康は興ある事と思って、足軽に持たせていた鉄砲を取り寄せて甚五郎に渡した。
「あたるもあたらぬも運じゃ。はずれたら笑うまいぞ」甚五郎はこう言っておいて、少しもためらわずに撃ち放した。上下こぞって息をつめて見ていた鷺は、羽を広げて飛び立ちそうに見えたが、そのまま黒ずんだ土の上に、綿一つまみほどの白い形をして残った。信康を始めとして、一同覚えず声をあげてほめた。田舟を借りて鷺を取りに行く足軽をあとに残して、一同は館へ帰った。
翌日の朝思いがけぬ出来事が城内の人々を驚かした。それは小姓蜂谷が、体じゅうに疵もないのに死んでいて、甚五郎は行方がしれなくなったのである。小姓一人は鷺を撃ったあとで、お供をして帰る時、甚五郎が蜂谷に「約束の事はあとで談合するぞ」