Classiques japonais avec furigana
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なにがわたしをこうさせたか
何が私をこうさせたか
金子 ふみ子
Lisez 何が私をこうさせたか (なにがわたしをこうさせたか) de 金子 ふみ子 (かねこふみこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 191 571 caractères · 383 écrans
私は吃驚した。胸の動悸が激しく打つのを私は感じた。
「まあ! 瀬川さんなの? どうしたの?」
瀬川は口もとに笑いを含ませながら、落ちついた態度で言った。
「随分待っていたんだぜ、この近所で」
「待っていたって? まあ、どうして判ったんでしょう、私がここにいるってことが」
「そりゃわかるさ、随分探したんだもの。だが、それはそうと、まあ、こっちへお出でよ。ちょっと話があるんだから」
瀬川にひかれて私は踵をかえした。そして、うちから見えない道端の板囲いのかげで、しばらく立ち話をした。が、別に用があるわけではなかった。ただ彼は私に会いに来たのだった。そして私を彼の下宿に遊びに来させようとしたのだった。
彼が私のここにいるのを知ったのは、ある私立大学の夜学部で、私の寺の叔父と一緒になって叔父からきいたためであった。彼は今、何でも、どこかの役所に勤めているとかであった。
上京して苦学している間、瀬川のことなんかてんで思い出してもみなかったのに、今またこうして会って見ると、やっぱり何か、瀬川にひかれるものがあった。私は彼に、彼の下宿を訪ねることを約束して別れた。
夏休みが近づいて来たとき、浜松の父から四円だったか七円だったか、とにかく些しばかりの金を送って来て、夏休みには浜松に帰って来いと言ってきた。