Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
いりむこじゅうまんりょう
入婿十万両
山本 周五郎
Lisez 入婿十万両 (いりむこじゅうまんりょう) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 650 caractères · 22 écrans
「――出来る、見損った」
五郎兵衛は半身を起したまま、浅二郎の後姿を見送って嘆賞の声をあげた。
この有様をもう一人、それこそ夢見るような気持で見まもっていた者がある、――街並の軒に隠れていた女――不由であった。所用あって通りかかりに、思いがけぬ浅二郎の姿を発見して、彼女は身動きもならず立ちすくんでいたのだ。
「まあ……あの浅二郎さまが」
頬を染め、熱い太息をつきながら、不由の眼は遠のく浅二郎の姿を覓めていた。
その夜、――夕食が終って後、居間へ引取った浅二郎は、机の上に筆紙をひろげて、長いこと何か書き物をしていた。四つ頃(午後十時頃)であった、襖をそっと開けて不由が入ってきた。
「まだお寝み遊ばしませぬか」と云う、浅二郎はちらっと見やって、
「はあ、いま少し――」
と云ったまま再び書き物を続けた。不由はしばらく黙っていたが、
「お茶をお淹れいたしましょうか」
と訊いた。かつてないことである、浅二郎は訝しく思って眼をあげた、何としたことであろう、不由の顔には薄く化粧が匂っている、帯にくくられた豊な腰の丸みも、かたく盛上った胸のふくらみも……今宵は見違えるように嬌めかしい。