Classiques japonais avec furigana
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いりむこじゅうまんりょう
入婿十万両
山本 周五郎
Lisez 入婿十万両 (いりむこじゅうまんりょう) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 650 caractères · 22 écrans
二
「御意のままに……」
「父上に仰有らぬと云うならそれ迄です、わたくしはあちらで寝みますから――」
不由は云い捨てて立上った。
二
霜月の冷やかな夜のしじまに、ただ一人仰臥しながら、浅二郎は低く、
「――まるで四面の楚歌だな……」
と呟くのだった。
出でては家中の若侍たちに嘲弄され、入ってはお不由の卑しめを受ける、しかも黙ってそれを忍ばねばならぬのだ、――何故であろう。
浅二郎が矢走家へ入婿した事情を知っているのは、藩主京極高信侯と国老厨川靱負、同じく原口山城、勘定方元締役布目玄蕃、それに矢走源兵衛の五人だけであった、その事情を簡単に記すとこうである。
時はこれ、林子平をして、
「現今諸侯のうち、現銀三千両を有するもの五指を出でず」
と喝破せしめた寛政年度。徳川幕府を始めとして大小の諸藩、いずれも財政難に当面していたが、讃岐多度津の京極家もその例にもれず、年来の疲弊積り積って藩政はほとんど逼迫の頂点に達していた。
ここにはその詳細を述べる要はないが、最も困惑を感じていたのが大阪の富商山屋八左衛門から借入れた五万余両の金である。これには吉野の檜山が抵当に振当ててあった為、万一返済ができぬ場合には京極家の重要な財源を押えられる事になるのだ。