Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しょや

初夜

山本 周五郎

Lisez 初夜 (しょや) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 17 384 caractères · 35 écrans

Aozora Bunko

代二郎は父が生きていなくてよかったと思った。父の唯右衛門は去年の五月に病死し、そのため桃世との結婚も一年延びたのであるが、善良で小心な父が生きていたら、どんなに心痛し途方にくれるか、そうしておそらく桃世との婚約も破棄されるだろうということが、彼には眼に見るように想像された。……殿町の家から登城するには巽門が近い、だが、そうすると、馬場下の除村家のそばを通らなければならないので、代二郎はまわり道をして、大手門へ向った。途中の町筋は色めき立っていた。早くも逃げだす人たちだろう、老人や子供をせきたてたり、家財を荷車に積んだりして、辻町から檜物町のほうへ、群衆が列をなして動いていた。

大手門には槍組の人数が出ていた。代二郎が通ると、かれらは異様な人間をでも見るように、眼をそばだて、また聞えがしに囁きあった。

「脇屋だ、除村の妹のあれさ」

「どうしたんだ」と云う声も聞えた、「彼は徒党に加わらないのか」

代二郎は聞きながして通った。

そこから中の口へゆき、中の口からあがって、中老の役部屋へ入るまで、ゆき交う人たちすべてがそういう眼で彼を見、不審そうに囁きあうのであった。