Classiques japonais avec furigana
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じゅうにしこう
十二支考(上)〔全2冊〕
南方 熊楠
Lisez 十二支考(上)〔全2冊〕 (じゅうにしこう) de 南方 熊楠 (みなかたくまぐす) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 290 735 caractères · 566 écrans
例すらあれば、それに比べて『綱目』の竜蛇を魚虫より別立し、足の有無に拠って竜類すなわち蜥蜴群と蛇群を分けたは大出来で、その後本邦の『訓蒙図彙』等に竜は鱗虫の長とて魚類に、蛇は字が虫篇故蝶蠅などと一つに虫類に入れたは不明の極だ。さて支那にも僧など暇多い故か、観察の精しい人もあって、後唐の可止てふ僧托鉢して老母を養い行きながら、青竜疏を誦する事三載、たちまち巨蟒あって房に見る。同院の僧居暁は博物なり、曰く蛇の眼は瞬かぬにこの蟒の眼は動くから竜だろうと、止香を焚いて蟒に向い、貧道青竜疏を念ずるに、道楽でなく全く母に旨い物を食わせたい故だ、竜神何卒好き檀越に一度逢わせてくださいと頼むと、数日後果して貴人より召され、夥しく供養されたという(『宋高僧伝』七)。拙者も至って孝心深く、かつ無類の大食なれば、可止法師に大いに同感を寄するが、それよりも感心なは居暁の博物で、壁虎の眼が瞬かぬなど少々の例外あれど、今日の科学精覈なるを以てしても、一汎に蛇の眼は瞬かず、蜥蜴群の眼が動くとは、動かし得ざる定論じゃ。それを西人に先だって知りいたかの僧はなかなか豪いと南方先生に讃めてもらうは、俗吏の申請で正六位や従五位を贈らるるよりは千倍悦んで地下に瞑するじゃろう。