Classiques japonais avec furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lisez 南国太平記 (なんごくたいへいき) de 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 493 291 caractères · 991 écrans
お前達が、次の天下を取るのじゃ。大切にせい。髪の毛一本でも粗末にするな。指は、一本だけ折ればよいぞ。兵頭」
「はっ」
兵頭は、泣いていて、顔を上げなかった。
「斉彬公よりも、天下に動乱のあること、よく承わっております。御教訓、しかと一同に申し伝えまする」
と、池上が、挨拶した。
二人が、引出物の刀と、脇差とを持って廊下へ出ると、もう、黄昏になっていた。廊下つづきの、左右の部屋部屋から、いろいろの顔が、ちらちら二人を覗いたし、玄関にも、多勢の人々が、二人を眺めていた。
提灯を片手に、馬丁が、馬の右に立った。人々の挨拶を受けて、門を出ると、もう、夜であった。門の軒下を、曲ると――二つの影が
「武助」
「五郎太」
と、叫んだ。馬丁が、その方へ提灯を突き出した。二人の青年が、見上げていた。
「おお、西郷」
「大久保。今頃まで、何していた」
「待っていた。無事だったな」
大久保の声は、微かに、明るく、顫えていた。
「引出物まで頂戴した」
と、武助は、脇差を、かざしてみせた。
黒塗りの床柱へ凭れかかって、家老の、碇山将曹が
「何んと――京で辻君、大阪で惣嫁、江戸で夜鷹と、夕化粧――かの。