Classiques japonais avec furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lisez 南国太平記 (なんごくたいへいき) de 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 493 291 caractères · 991 écrans
最初の駕の侍が
「駕屋、とめろ」
と、叫んだ。
「ええ?」
「此処まででよい――降りる」
駕屋は、お互に
(怪しい奴だよ。この野郎ら――)
と、眼配せをした。
「吾々は、公儀御用にて咎人を討取る者じゃ。見物せい」
と、一人が、駕屋へ微笑して
「小田原の方へ降ることはならぬ。そっちへ――遠くへ離れておれ」
と、命じた。そして、酒手を多分に出した。
「待て。駕屋、待てっ」
行手の叢から、侍が立現れて叫んだ。
最初の駕にいた男も、次の駕の男も、立てかけてあった刀をとった。そして、素早く、左脚を、駕の外へ出した。
「奈良崎――」
草叢の中から出て来た侍は、こういって近づくと
「聞きたいことがある」
奈良崎は、黙って、刀を提げて、その侍の反対側へ出た。雲助が、急いで草履を持って来た。四梃の駕からも、刀を持って、商人に化けた四人が出た。そして、四辺を見廻してから、奈良崎の背後に立って、その侍を、じっと睨みつけた。
「一木」
奈良崎が、少し、顔を赤くして叫んだ。
「連れ戻るか、斬るかであろう」
一木は、冷たい微笑をして
「君公の命じゃ。何故、お主は無断で、旅へ出た」
「そういうことを聞きとうない」