Classiques japonais avec furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lisez 南国太平記 (なんごくたいへいき) de 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 493 291 caractères · 991 écrans
綱手が
「お母様、もしものことが――」
「でも、気にかかるゆえ――真逆、女を斬りもしまい」
七瀬は、こういいすてて、小走りに駕の方へ行った。綱手は、懐剣の紐を解いて、すぐつづいた。群集が、ざわめいた。駕脇の一人が、一人の旅人に
「この辺に、二十七八の侍がおらなんだか」
と、聞いた。七瀬が、歩きながら
「一木様は、先刻、お下りになりました」
と、いった。侍は、二人の顔を見て、じっと睨んで
「仙波の家内か」
「そこの死体に、一木様が、何かお書付けおきなされました。あの、お疵は、いかがしてお受けになりましたか、誰から――」
「左様のこと、聞かんでよい」
侍は、ずかずかと、死体の方へ歩いて行った。
「仙波に、お逢いなされましたか」
「煩いっ、ぶった斬るぞ」
振返って睨みつけた。
七瀬と綱手は駕を急がせた。
「ああれ、又だ」
と、先棒が叫んだ。と、同時に、後から
「おっかねえ。睨んでるぜ」
七瀬も、綱手も、道の傍に二人の侍が立っていて、その真中に、一人がうずくまっているのを見た。二人とも、凄い眼をして、駕の近づくのを、じっと見ていた。駕が、二三間のところまで行くと
「御無体ながら――」