Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lisez 南国太平記 (なんごくたいへいき) de 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 493 291 caractères · 991 écrans

Aozora Bunko

「お方」

背を押して、叫んだ。お由羅は、眼を開けて、自分で手首を押えて、軽く、お辞儀をした。侍は、布を出して、膏薬を貼った上から、縛った。お由羅は、しびれた、痛む胸を、這うようにして、壇から降りて

「火が、みんな、左へ廻りましたの」

と、微笑した。

「吉相にござります。焔頂、左に破散して、悪声を発す。今夜の内に、成就致しましょうか」

「牧は、今夜あたり、お国の何の辺で、祈っておりましょうか」

侍は、壇の下から、護摩木を取り出して、積みながら

「烏帽子岳か――黒園山あたりで、ござりましょう」

侍は、兵道家牧仲太郎の高弟、与田兵助という人であった。

お由羅が、汗を拭いて、壇の下へ坐ると、兵助が、燃え尽そうとしている護摩木の中へ、新しい木を、一本一本、押頂いて、載せて行った。煙と、焔とが、又、勢いよく立ちかけた。

兵助は、気味の悪い、鈍い眼をした牛の頭を、両手で、静かに、火炉の中へ置いた。すぐ、毛の焼ける、たまらない臭が、部屋中へ充ちた。兵助は、口の中で、何か唱えながら、白檀と、蘇合香とを、牛頭の上から、撒きちらした。

右手に置いてあった、尖に、微かに、血のにじんでいる直刀を握って、牛の眼へ、ぴったりつけながら