Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lisez 南国太平記 (なんごくたいへいき) de 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 493 291 caractères · 991 écrans

Aozora Bunko

(庄吉、周章てちゃいけねえぞ)

と、首を振って、一分ずつ、二分ずつ――呼吸が苦しくなって、大きく吐きたいのを我慢しながら、顫える手を、膝を、顫わすまいと制しつつ――五寸、六寸、それは、短い時間であったが、庄吉には、耐えきれぬくらいに、長く感じた。だが、障子は開いた。庄吉は、障子を開けたまま、廊下の外に、猶、暫く、蹲んでいた。

調所笑左衛門は、十年の間に、島津の家の基礎を作った人であった。常人以上の才分と共に、常人以上の精力と、胆力とを持っていた。

二十年前、重豪公から、斉興公から、藩財整理を命ぜられたその日から、朝は五時に起き、夜は十二時に寝る人であった。そして、武芸者が、微かな音にも眼を醒すように、敏感な調所の神経は、夜中にも働いていた。

だが、庄吉は、そういう、自分達と、類のちがった人を考えてはいなかった。調所は、眠っていると信じていた。夜中には、誰も、熟睡しているものと、考えていた。そして、調所も、熟睡はしていた。然し、障子が、一尺余り開いて、肌寒い、冬の夜風が、襟元へ当ると共に、眼を醒した。そして、そのまま、気配を窺っていた。

(手函を――)