Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lisez 南国太平記 (なんごくたいへいき) de 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 493 291 caractères · 991 écrans

Aozora Bunko

小走りに近いくらいの足並で、廊下の中程まで行くと

「久光様」

と、低い声が、後方からした。久光は、その声が、耳へ入ったが、自分が呼ばれていると、感じないくらいに憤りと、不安とで、頭をいっぱいにしていた。

「久光様――御前――」

久光は、振向いて怒鳴ろうとした。老臣の一人が、泳ぐように、急いで――だが、足音を憚りながら

「亡くなりなされました――」

と、呼吸が、つまったような声で云った。久光は

(この血迷い者、亡くなったとは――不吉な――馬鹿者っ。老臣の身で――)

と、やり場のない憤りを、そして、それを口にも出せない苦しさを、眼の色に出して、睨みつけると

「哲丸様が――哲丸様が、お亡くなりに――」

久光は、心が、踏みくだかれたように、感じた。立止まると

「ほ、本当か」

「唯今、江戸表から――」

と、云って、老臣は、咳を立てまいと、廊下へ伏して、袖の中へ、顔を包んだ。久光は、身体を、その肩へ曲げて、耳許へ

「他言致すな。秘めての」

と、いうと、蒼白な顔をして、立上った。

案内の坊主が、同じように、歩き出した。

「他言すな。すると捨ておかんぞ」

と、久光は、小声で、口早に、坊主に云った。