Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lisez 南国太平記 (なんごくたいへいき) de 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 493 291 caractères · 991 écrans

Aozora Bunko

(成就した)

動かない手を――しびれてしまった、力の尽きた、干れ細って汚い手を、じりじりと、立てて、最後の合掌を、しようとして、身体を立てかけた。そして、肩で呼吸をして、眼を閉じた。

「牧」

と、呼ぶ声がした。近くか、遠いのか、外から聞えたのか、頭の中で、そういう声が、したのか、判らなかった。

(誰であろうと、何ういうことであろうと、自分の此世における仕事は果てた。果した。斉彬――兵道の敵斉彬は、滅んでしまったのだ。斉彬も、その子も――兵道を呪咀した血は、これで、悉く絶えてしまったのだ――知ったであろう、兵道の威力を――)

牧は、笑えぬまでに、固くひからびた頬に微笑した。

「立て、牧、仙波八郎太の倅じゃ――立て、牧」

(仙波?――八郎太?)

牧の頭は、急速度に、疲弊してきた。肉体の衰亡が、一時に拡がってきた。仙波、と聞いても、記憶が、すぐ、口には、出て来なかった。

何かが、首を、身体を、ぐいぐい引上げるようであった。牧は、土のついた、濁り、淀んだ、黒灰色の顔を上げた。そして、残りの力を瞳に集め、手に集めて、手を膝へ置き、上の方を見た。

「仙波小太郎じゃ。立上れるか?」